♪♥ この教材は,高校数学の基本問題のうち,確率の基本のバックアップファイルです. ♫♣ 元の教材が機器や通信トラブルで読めないときに,こちらを使ってください.なお,学習の記録は付いていません.
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• 確率の基本 • 確率の加法定理 • 確率の乗法定理 • 独立な試行の確率,反復試行の確率 • 条件付き確率 • 期待値 • 反復試行の確率(入試問題) • 確率の計算(入試問題) • 条件付き確率(入試問題) • ベイズの定理 • 確率,センター試験問題(2000-2008) ※数学Aで習う確率の初めの部分は,中学校の復習になっている. 確率の定義 例1 くじで当たる確率を求めるときに,「当たりかはずれかどちらかだから,当たる確率は2分の1」などと雑な議論をしてはいけない. 右図1のように,5本のくじの中に当たりくじが2本入っているときに,1本引いて当たる確率は,次のように求められる. くじの出方の全体の場合の数は N=5 当たりくじが出る場合の数は n=2 どのくじの出方も「同様に確からしい」から,確率は p= 【要約】
ある試行で起こりうる全体の場合の数が N 通りで, 各々の起こり方が同様に確からしいとき, ある事柄が起こる場合の数が n 通りならば その確率は p= 記号と用語 試行・・・同じ条件で繰り返すことができ,その結果が偶然によって決まる実験や観察(上の例1では,くじを引くこと) 事象・・・試行の結果起こる事柄(上の例1では,当たりくじが出ること) 全事象・・・試行で起こる結果の全体 全事象は全体集合 U で表わされる.このとき,各々の事象は U の部分集合として A , B などの集合で表わされる. 全事象を構成している個々の事象の起こり方が「同様に確からしい」とき,事象 A の起こる確率は U の要素数に対する A の要素数の比率で定義される. p== |
図1
○ 確率は, すなわち,(部分の数)÷(全体の数)で求められるが, この計算で確率が求められるのは,全体の数を構成している各々の場合が「同様に確からしい」場合だけである. すなわち,この問題で全体の場合の数を「当たる」「はずれる」の N=2 通り,「当たる」場合 n=1 通りとすると,全体の場合の数を構成している個々の場合「当たる」「はずれる」が同じ確からしさで起こっていない.だから,= は確率にならない. これに対して,どのくじも同じように出るから,全体の場合の数を N=5 通り,当たりくじが出る場合の数を n=2 通りとすると,= は確率を表わす. 例1では N=n(U)=5 n=n(A)=2 p== となっている. |
例2 1個のさいころを投げるとき,4以上の目が出る確率 起こりうるすべての場合の数は N=6 (各々,同様に確からしい) 4以上の目が出る場合の数は n=3 p== |
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例3 2枚の硬貨を投げるとき,表が1枚裏が1枚出る確率 起こりうるすべての場合の数は N=4 (各々,同様に確からしい) 表1枚裏1枚が出る場合の数は n=2 p== |
※ 「順列」「組合せ」「場合の数」では,異なるn個のものがある問題も,同じものがn個ある問題も扱うが,確率の計算では,目に見える程度の大きさのものには区別があるとする.(造幣局がどんなに正確に硬貨を作っても各々の硬貨には区別があるとする.) この問題では,表が1枚出るのは2通りと数える. |
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(1)
起こり得るすべての場合の数は N=36 通りで,どの場合も同様に確からしい. 目の和が5となる場合は n=4 通りだから p== |
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(2)
目の積が3の倍数になる場合は n=20 通りだから p== |
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(3) 起こり得るすべての場合の数は N=62=36 通りで,どの場合も同様に確からしい.
最大値が5 ⇔ (5以下が出る)-(4以下が出る) だから n=52 - 42=9 p== ※5以下の目が出るだけでなく,実際に5の目が出ていなければならない.図のように少なくとも1つは5の目となる場合の数を数える. |
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(2) 起こり得るすべての場合の数は N=24=16 通り
表が連続して2回出るのは (表)(表)(裏)(裏) (裏)(表)(表)(裏) (裏)(裏)(表)(表) (表)(表)(裏)(表) (表)(裏)(表)(表) の5通り 表が連続して3回出るのは (表)(表)(表)(裏) (裏)(表)(表)(表) の2通り 表が連続して4回出るのは (表)(表)(表)(表) の1通り 以上から,表が2回以上連続して出る場合の数は n=8 通り p== |
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(3) 4回投げて起こり得るすべての場合の数は N=24=16 通り
3回までに表1回出て,4回目に表が出るのは (表)(裏)(裏)(表) (裏)(表)(裏)(表) (裏)(裏)(表)(表) の3通り 以上から,4回投げたときに終りになる場合の数は n=3 通り p=
(参考) この問題で起こり得るすべての場合(全事象)として,2回で終わるとき,3回で終わるとき,4回で終わるとき,5回で終わるとき,・・・として,そのうちで4回で終わる場合の数の割合は?と考えると,どこまで計算したらよいのか困ってしまう.
実際,数学Aでは無限回の試行は原則として扱わない. 上の答案では,4回の試行を行ったときに起こり得るすべての場合の数を分母とし,4回目で終わる場合の数を分子としている.これを図示すると次のようになる. (表)(表)||(表)(表) → 2回で終了 (表)(表)||(表)(裏) → 2回で終了 (表)(表)||(裏)(表) → 2回で終了 (表)(表)||(裏)(裏) → 2回で終了 (表)(裏)(表)||(表) → 3回で終了 (表)(裏)(表)||(裏) → 3回で終了 (表)(裏)(裏)(表)|| → 4回で終了 (表)(裏)(裏)(裏) → 5回目以降を行う (裏)(表)(表)||(表) → 3回で終了 (裏)(表)(表)||(裏) → 3回で終了 (裏)(表)(裏)(表)|| → 4回で終了 (裏)(表)(裏)(裏) → 5回目以降を行う (裏)(裏)(表)(表)|| → 4回で終了 (裏)(裏)(表)(裏) → 5回目以降を行う (裏)(裏)(裏)(表) → 5回目以降を行う (裏)(裏)(裏)(裏) → 5回目以降を行う これにより,N=16, n=3, p= とする. ただし,|| の後に灰色で示した部分は実際には行われないが,各々の場合を「同様に確からしく」数えるために4回目まで形式的に書いている.(例えば,先頭の例で,2回で終わる場合を (表)(表) の1通りとすれば,その数え方は「同様に確か」ではない.上のように先頭から4個で示した4通りと数えれば他と同様に確からしい数え方となる.) また,無限回まで調べるのか?という疑問について,上の表で「5回目以降」と示した場合分けに,5回,6回,・・・のすべての場合が含まれていることが分かる. |
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(2)
5本のくじの中から同時に2本引く場合の総数は 5C2=10 通り 2本ともはずれの場合の数は 3C2=3 通り 少なくとも1本当たる場合の数は n=10−3=7 通り p= ※少なくとも1本当たる場合の数は,(総数)−(全部はずれ)で求められる. 素朴に,1本当たる場合と2本当たる場合を求めると次の通り. 1本当たる場合が 2·3=6 通り,2本当たる場合は,2C2=1 通り,計7 通り |
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(3)
5本のくじの中から2回引く場合の総数は N=5P2=20 通り 1番目のくじが当たりとなる場合の数は 2 通り (次に4本のうち1本が当たりくじになっているとき) 2番目に当たる場合の数は 1 通り 以上からn=2 通り p== ※総数を順列で数えるときは,場合の数も順列で数える. |
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(3)
合計6個の玉から順に3個取り出す場合の総数は N=6P3=6·5·4 通り 1番目に緑を取り出す場合の数は 2 通り 各々,2番目に黄を取り出す場合の数は 2 通り 各々,3番目に赤を取り出す場合の数は 2 通り n=2·2·2=8 通り p== ※総数を順列で数えるときは,場合の数も順列で数える. |
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(2)
5人の並び方の総数は N=5P5=120 通り AがBよりも左に並ぶために,5つの座席のうちC,D,Eが並ぶ座席を決めれば,A,Bは決まる.Cの座席の決め方 5 通り,各々Dの座席の決め方 4 通り,Eの座席の決め方 3 通り, n=60 通り, p== ※AがBよりも左に並ぶ場合の数は (←ACDBEなど) BがAよりも左に並ぶ場合の数 (←BCDAEなど) と同数あるから,p= |
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(3)
3個並べる並べ方の総数は N=5·4·3=60 通り そのうち奇数となる並べ方は, 1の位の決め方が 3 通り, 各々百の位,十の位の決め方は 4·3 通り, 結局,3桁の奇数は n=4·3·3=36 通り p== |
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(1)
x=1 が,2次方程式 x2−ax+b=0 の解となるのは, 1−a+b=0 すなわち a−b=1 のとき
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(2)
目の出方の総数は N=63 通り
1) z=1 のとき,なし. 2) z=2 のとき,1 通り 3) z=3 のとき,2 通り 4) z=4 のとき,3 通り 5) z=5 のとき,4 通り 6) z=6 のとき,5 通り 7) z≧7 のとき,なし. x+y=z となる場合の数は n=15 通り. p== |
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(3)
目の出方の総数は N=62 通り
p= ※ 判別式を習っていないときは,次の考え方を参考にせよ. x2+ax+b=0 の解は(解の公式により) これは,根号内 a2−4b≧0のとき実数解を持つ. |
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(1)
3人の手の出し方の総数は N=33 通り ア) 3人が同じ手を出す場合の数は 3 通り イ) 紙(パー)石(グー)鋏(チョキ)の3種類が出る場合の数は 3! 通り ア)イ)よりあいことなるのは n=9 通り p==
「じゃんけん」の呼び方(グー,チョキ,パー)や「あいこ」の意味は,地域によって異なる場合がある.この問題では「あいこ」とは,1人の敗者もおらず,1人の勝者もいない場合を示すものとする・・・筆者の育った地域では,3人でじゃんけんをして,2人が勝者となって,その2人からさらに1人の勝者を決めるために行う場合も「あいこでしょ」という決まりになっているが,この問題では,その意味に解釈しない・・・すなわち,3人→勝者2人となってから,さらに1人の勝者を決めるために行うときは,改めて「じゃんけん」ということになる.
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(1)
4人の手の出し方の総数は N=34 通り 勝者の手の出し方は 3 通り (←グチパ) 各々敗者3人の手の出し方は 1 通り (←グに対してチ,チに対してパ,パに対してグ) 各々勝者の決め方は 4 通り (←グ=Aなど) 以上より,1人の勝者が決まるのは n=12 通り p== |
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(3)
5人の手の出し方の総数は N=35 通り 勝者3人の手の出し方は 3 通り (←グチパ) 各々敗者2人の手の出し方は 1 通り (←グに対してチ,チに対してパ,パに対してグ) 各々勝者の決め方は 5C3=10 通り (←グ=A,グ=B,グ=C,チ=D,チ=Eなど) 以上より,3人の勝者が決まるのは n=30 通り p== |
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